曇天のスコットランド。草地で草を食む羊たちと、入江の向こうに切り立つ崖

The Name / Cairn

ケルン。

山岳や荒野に積まれた石の道標、ケルン。霧の中でも、嵐の日でも、次の一歩を示してくれる存在。KAIRN KYOTOは、その名を冠した。

どんな場所にいても、ウイスキーと静かに向き合う時間へ。そこへたどり着くための道標でありたい。グラス一脚を、旅に連れ出すために。


Founder

大学院で物理学を学び、物性の実験研究に携わった後、機械設計エ⁠ン⁠ジ⁠ニ⁠アとしてのキャリアを歩んできた。素材の振る舞い、構造と力の関係、再現性のある設計。数字で語れないものは、設計と呼ばない。

その視点で既存のグラスケースを見たとき、納得できるものが、どこにもなかった。

学生時代、立ち上がったばかりのウイスキー同好会に加わった。会長と酌み交わした夜から、グ⁠レ⁠ン⁠ケ⁠ア⁠ンと過ごす時間が始まった。その付き合いは、社会人になったいまも続いている。やがて、ス⁠コ⁠ッ⁠ト⁠ラ⁠ン⁠ドへ渡った。アイラ島の蒸溜所で、ハ⁠イ⁠ラ⁠ン⁠ドの蒸溜所で、テ⁠イ⁠ス⁠テ⁠ィ⁠ン⁠グ⁠グ⁠ラ⁠スが当たり前に使われている光景を見た。現場でしか分からないことが、ある。

そのグラスを、旅に連れ出したかった。

エ⁠ン⁠ジ⁠ニ⁠アの目と、ウイスキー愛好家の手で。KAIRN KYOTOは生まれた。

蒸溜所の熟成庫。木の梁の下に、ウイスキーの樽が並べられている

Materials & Design

「これは熟成するか。」

素材を選ぶとき、一つの問いを立てた。帆⁠布は使うほどに風合いが増し、革は手に馴染むほどに深みを増す。ウイスキーが樽の中で時間をかけて変化するように、道具もまた、使い手と共に育っていくべきだと思った。

ブラウンの帆⁠布はシ⁠ェ⁠リ⁠ー⁠オ⁠ー⁠ク樽の色から。ダークブラウンの革は、異なる原酒を掛け合わせるバ⁠ッ⁠テ⁠ィ⁠ン⁠グのように、帆⁠布と共鳴する素材として選んだ。

金具はすべて、ダ⁠イ⁠キ⁠ャ⁠ス⁠ト亜鉛合金。プラスチックは劣化する。しかし、熟成しない。だから選ばなかった。

耐久性は、道具への信頼だ。経年変化は、時間への敬意だ。

帆布に黒い革のループで留めたDリング金具の接写

For Those Who —

KAIRN KYOTOは、ウイスキーを好きな人のために作った。宿の部屋でも、山の上でも、焚き火の前でも。どんな場所でも、いつものグラスでウイスキーと向き合いたい——そう思ったことがある人に、届いてほしい。

グラスを持ち出す理由は、いつもそこにある。

このケースが、あなたにとっての道標になれば。

一杯は、日常の外へ。